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ワンクール
虚弱体質で、ちょっと風邪をひいたら色々わけのわからない病気を呼び寄せて、しょっちゅう入院する。長く生きられないだろうと医者からは言われ、それ故に大事にされ過ぎていた。
血のつながらない妹は、最初からわがままで意地悪で、わたしが嫌がることをしては、喜んでいた。家族と呼ばれるようになってもう五年たつのだけど、未だに妹のことが理解できない。
「おいぶす、もっとゆっくり歩けよー」
聞くだけで腹の立つ口のききようだけど、こうして歩いているところを見ると、姿はまことに良かった。
色白で華奢で、長く伸ばした髪の毛は茶色がかって風になびき、部屋着の延長みたいな白い簡単なワンピースを纏っているところは、純文学のヒロインみたいに儚い。
潮風にあたるだけでも体に毒なのだろうに、どうしてこいつはここまで着いて来たのだろう。帰りなよ心配してるよと言ったら、「嫌だようっせーな」と返って来た。どうでも良くなった。
夏とは言え、夜風は涼しい。
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