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病弱なのを良いことに、わがまま放題の妹は、学校にもろくに行かず、好きなものを食べ、嫌いなものは床にばらまき、両親に対しては魚臭いから寄るなと暴言を吐き、姉のわたしに対しては「ばーかばかばかぶーす」。
今日だって、部活から帰って来たら、部屋がぐちゃぐちゃにされていた。そして、お気に入りのワンピースに喰い零しをつけられていた。
(美人のお母さんなのに、再婚に苦労したのは、絶対にこいつのせいだろう)
と、わたしは思っている。
五年もたてば、この悪魔のような妹の性根が嫌と言う程分かり、もはや相手にするだけ無駄だと知った。熱を出して死にそうになるならそうなればいい。難しい病気を併発するのにも慣れた。最初の頃は、死にそうになったと聞いて本気で心配して枕元に行き、涙を流しながら「優しくできなくてごめん」と懺悔したものだ。
ところがどっこい、この妹は「お姉ちゃんに遺言状書いた。わたしのこと忘れないでね」と天使のような顔で手紙をわたしにくれたかと思ったら、その手紙には「どぶす」とだけ書いてあった。頭を抱えたくなった。そんなわたしを見ながら、妹は死にそうなくせに「あははー、ばーかばーか」と笑っていたものだ。
最早、同じ人間とは思えないほどの根性悪。理解に苦しむ性格。
けれど、どういうわけか、妹が笑う時、それがどんな嫌がらせをされた後だとしても、笑顔がぱあっと、黄金色の花のように輝くのだった。
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