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もちろんお医者さんや家族には内緒だ。僕に不思議な力がある事が分かったら、きっと大騒ぎになってしまう。テレビの記者会見ぐらいで済めば良いかもしれないけど、どこかの研究施設にでも拉致されたりしたら大変だ。きっと人体実験でもされて、最後にはバラバラにされてしまうに違いない。テレビや漫画でよく見る超能力者は、大抵不幸な結末を迎えている。この調査には慎重さが要求される。
僕の右目に映るオーラには一つの特徴があった。それは色が付いているという事だ。僕はまず、その色について整理していくことにした。
大体の人は白のオーラをまとっている。でも人によっては黒だったり青だったりする。そして時々オーラの色が変わる。僕を担当してくれている看護師さんは、今日は赤のオーラだ。でも昨日は白だった。たまにオーラが無くなる時もある。
赤のオーラの人に『あなたはなぜ赤のオーラをしているんですか?』と聞くわけにはいかない。聞かれた方は多分きょとんとしてしまう。そして僕の退院が少しばかり伸びることになる。頭の精密検査をいちからやり直すなんて、ちょっとごめんだ。
だから僕は自分なりにオーラについて考えてみることにした。でもいくら頭をひねってみても、はっきりとした答えが出なかった。オーラはきっと体調に関わるものなんだろう、ぐらいしか思いつかなかった。
ちなみに僕自身のオーラは常に白だった。なぜだろう。
病院の中で会える人は限られている。お医者さん、看護師さん、となりのベッドの人。時々、学校の友達や、お父さんやお母さんを見ることはできるけれど。
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