出会いは最悪

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『パパぁ、今日仕事お休みしても良い? 奈緒が京都から戻ってきててね・・』 朝の支度を済ませソファに座る父の背中側から抱きついて、いつものように甘えると 巻き付けた腕を大きな手がトントンと制した 『あぁ、いいよ』 柔らかく低い声が耳に届く 『愛華さん!仕事は遊びじゃないのよ?』 ベッタリな父娘を引き剥がすのは母の声 『はい、は~い』 さっと立ち上がり自分の部屋に戻った 小さな頃から父はとても甘くて 対照的に母はどこか冷たい印象だった 一人娘だから甘やかしても良いことないのよ? って口癖のように言っていたけれど たまに本当の母じゃないのかも?と 疑ってみたりもした。 それでも、いつも私中心のこの家 居心地良すぎて一生独身でも良いと思っていた 。 『愛華!こっち、こっち~』 幼なじみの奈緒の声に振り返ると 前回会った時よりも少し髪の伸びた奈緒と 隣に立つ見知らぬ男性 笑顔が少しずつ消えた 『愛華!こちら南條英夫さん 突然だけど私達結婚したの』 彼を見上げ笑顔を向ける奈緒を どこかボンヤリ眺める 『ん??愛華?』 肩をトンと叩かれ 現実に引き戻された 『あ、おめでとう。いや、違う! なんで?結婚って、私、聞いてないし なんで?』 ハテナを連発する私に 『だから、今報告してるんじゃない 立ち話もなんだからランチに行きましょう』 すっかり彼女のペースで 気がつくとフレンチの個室で幸せマックスの二人と向き合って座っていた。 結婚するの!ではなくて 結婚したの!って事後報告 その理由を何度も旦那さんと見つめ合いながら話した奈緒 本当なら今日は1日奈緒と二人で過ごすはずが あてられっぱなしで疲れてしまい ランチが終わるとともにお開きにした。 時計を見るとまだ14時 父の会社に近いから 15時のお茶の時間に合わせようと ケーキを買うことにした
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