天王寺・父をたずねて阪堺線

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(あの顔の傷・・・まだくっきりと) ぼんやり見てる僕の顔に“その人”は 気がついたようだ・・・すると、 いきなり地面に土下座を・・・した。 「すみません!すみません!」 駆けようとする父親の脚より 僕のほうが速かった。 「すみません!すみません、すみません」 僕を見ることなくただ謝る“その人”に 「頭をあげてください。  謝るのは、こちらのほうです。  母がとんでもない怪我を負わせて」 僕は手を添えた。 「いえ、私の考えが幼いあまり  御家族を不幸にしたのは私、  私なんですっ、いつか、いつか  謝りたいと・・・」 「母は再婚して幸せに暮らしてます。  どうか心の重荷は解いて下さい」 僕の言葉に、“その人”を抱き支える 父親は嗚咽した。 ふっつりと消えた外灯・・・ 月明かりの下で見えた二人の“恋の疵”。 ・・・僕はどうしようもなく 仁子が恋しかった・・・。 2bdc9e86-cdf6-4462-b880-1d44776e07e4           ー 了 ー
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