プロローグ

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イケメンか 洗ったばかりの顔を鏡で覗き込んだ青年は、若干溜め息混じりにそんなことを自分にしか聞こえない声量で呟いた 彼は、所謂ナルシストと言われる人種では断じて無い 事実彼の顔やスタイルはかなり整った部類と言える。本人はたれ目がちなのがコンプレックスなのだが他人は知る由もないだろう また彼が己の恵まれた容姿を自覚しているのは周りの環境が大きく、それは半ば強制的なものだった 次は私が洗面台を使うんだからと急かしてくる、高校3年生になったばかりの妹 接客業なため、まだ自室でぐっすり寝ているであろう姉 身内の欲目を排除しても、美女と美少女としか言いようがないのだから、同じ血を引いていて顔立ちも似ている自分が不細工な筈もなかった そこそこ新しくて広い家は3人暮らし、家長は姉となっている 3年程前だっただろうか、父の長期出張に淋しさを我慢出来なかった母が同行した 結果、情熱と伝統の息づいた其処に惹かれフィレンツェを第2の故郷とした 彼が親友に位置付ける者曰わく 「なんなんだよそのギャルゲーの主人公みたいな環境は」 だ、そうだ
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