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「あ‥あうあ」
自身の当時の心理の動きを的確に解析された羞恥やら、バレたのに変わらず愛してもらえる歓喜やらで思考が停止して顔が真っ赤になった恋人に愛おしさ以外の感情などわくはずもなかった
慎哉はそのまま彼女を俗に言うお姫様抱っこで抱えると微笑んで寝室に連れていった
レナしか女を知らない彼は、他の判断基準が無い
だからその行為をしていたのがレナならば、別にいいやと考えた
また彼は雹條の懐への入り方に苛ついていた
お嬢様は、なかなかに策士だった
友人達が居る場所では恋愛感情などまるで無いふうに振舞い、単に貴方達と仲良くしたいだけだと宣う
そこで慎哉が過敏なリアクションを取れば、異性として意識しているのはむしろ雹條ではなく慎哉ということになってしまう
だから、へらへら笑って仲間に迎え入れる以外の選択肢は実質的に排除されてしまっていた
あとから演技派ビッチだったと言われても、舞や瞳が信じるかは微妙なラインだ
龍騎は信じてくれるかも知れないが、それだけでは意味がない
自分がナルシスト妄想野郎だと思われるだけならさっさと縁を切ってしまえばいいかも知れないが、レナや家族にまで悪評が飛び火するのはどうしても嫌だった
恐らくあのお嬢様はそこまで織り込み済みなのだろうと思うと、ついつい眉間にシワがよる
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