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「やっぱり要注意だったんだ。
で、でもさ、私も」
その先は言わせない、そっと唇を塞ぐ
「あ、あのさ、その、本当にありがとう」
結局苛立ちは、腕の中で蕩けきった恋人に掻き消されて2人は蜜の海へ沈む
だから、まだ2人は気付かない
既に後戻りの出来ないフェーズにいることに2人が気付いたのは散々愛し合ってからだった
因みに2人して忘れ物を取りに来た妹にお叱りを受けたが、その時点では妹に余計な心配をさせまいとして雹條のことを言いそびれた
レナは嬉しさから普段の憶測癖が発症せず、慎哉もまたレナに対する愛情の爆発が冷静な分析を怠らせていたのだろう
こうして、時間差で令嬢がしかけたあらたな疑念が2人を蝕む
そう
何故、雹條恋がレナの秘密を知り得たかが棚上げされていた
燃え上がった2人には、その情報の別の使い方や入手方法を推測する余裕が無かったのだ
もっとも、それ知る時は淡々と近付いていた
ピンポーン
また、チャイムが鳴る
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