お嬢様は我慢できない

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「いや、なんでそうなりますの」 その台詞は、秘密が秘密でなくなったあとの慎哉の行動を咎めているのだろう 再び訪ねて来た雹條恋は嫉妬やら呆れやら嘲笑やら慈愛やら、兎に角様々な感情がぐるぐると渦巻いたような文章での表現が困難な表情だった またその感情の噴出によって、ミステリアスさはどこかに消え失せ等身大の女の子な面をのぞかせていた…そして、彼女も自分の秘密を隠そうという意思を消していた 「あの、雹條さん、これ」 ピロートーク中に見つけた住人の覚えが無いコンセントの三口タップをレナが恋におずおず差し出す まあ、一旦頭が冴えればこのカップルは盗聴という結論にすぐ行き着くだけの推理力がある。先程の熱愛をリアルタイムで把握されたのは些か恥ずかしいものではあったが ただ、恋は予想の斜め上に居たようだ 「そんな通販のおもちゃは見つかる前提ですわよ あと10個ありましてよ」 いや、胸を張って言うことでは無いだろうと2人は思ったが突っ込むことは許されない雰囲気であった また、レナを許して妹に叱られるほど盛り上がったあとでは彼女だけ責めるのもなんともお門違いに感じられてしまう 「それにしても、あなたは鈍感過ぎですわ わたくしは入学式でお見かけしてからずっとお慕いしておりましたのに」 正直、そんなことを言われても困る ただ、彼女の雰囲気からして関係をめちゃくちゃに壊してやるみたいな悪意はまるで感じられなかった
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