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「出た」
「出たってなによ!勇也のはちゃんとご飯とシチュー別にしてあるからいいじゃない!」
「でも見た目がさぁ……白いご飯に白いシチューってあんまり美味しそうじゃないよね」
「ドリアみたいなもんでしょ」
あるある。シチューONライスありな人がよく言う言い分。
「それに口の中に入れたら一緒でしょ」
あるある。シチューONライスありな人がよく言う言い分パート2。
「洗い物も削減できる!」
あるある。シチューONライスありな人がよく言う言い分パート3。
「毎年の決まり文句だね」
「勇也だって毎年私のクリームシチューに文句つけるじゃない!」
「いやいや、クリームシチューには文句つけてないよ。クリームシチューにはね」
効果音をつけるならプンスカって感じだ。拗ねてる姿も可愛いけど……そんなこと言ったら「馬鹿にして!」なんて怒られそうだから黙っとこう。
咲希の作るクリームシチューはとっても美味しい。トロミは小麦粉じゃなくて生のすりおろしたじゃが芋でつけてある。具にじゃが芋は入っていないけど、たくさんの白菜と玉ねぎがくたくたになるまで煮込んである優しい甘さのシチューだ。たまにチーズが入って時もあるんだけどそれもまた美味しい。
要するに俺は咲希の作るクリームシチューが大好き。大好きなんだけど……同じ皿には乗せたくないんだよね。
確かにドリアは好きだし、口の中に入れたら一緒だし、洗い物も減るけど……なんか嫌なんだよね。そもそもクリームシチューはおかずにならないって人もいるけど、俺はそうじゃないから咲希にとっては余計に不思議なんだろうな。
「今度からクリームシチュー作らない!」
「ええ!?それは嫌だ!」
「じゃあ、ご飯にかけてやる!」
「それも嫌だ!」
「わかった!白じゃなければいいのよ!」
果たして何がわかったのか。あんまりいい予感のしない俺に反して咲希は子どものようにキラキラと瞳を輝かせている。
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