一切れのケーキ

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 それから、数年経ち彼女は誰かと結婚したんだと風の噂で聞いた。あの時、僕はどうして何も言えなかったのだろう。  大好きだったのに。  もし言えていれば、ひきとめることが出来たら、どうなっていたのだろう。  それは分からない。初恋は叶わない。あの頃の何もできなかった僕を思い出す。  苦いコーヒーを飲み、隣に並ぶ妻の買ってきたショートケーキを口に運んだ。
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