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「だからこそ、アミラさんと一緒に戦いたいんじゃないですか」 「ん?」 「男はその美しい体を傷つけることができずに首を飛ばされてしまう。女はその超人的な戦闘技術の前に手も足も出ない。つまり、『(くれない)の白雪姫』とまともにやりあえるのは、トルイタム王国一の女騎士であるアミラさんと、トルイタム王国一の回復魔術師であるこの僕しかいないってわけですからね」 「トルイタム王国一は言い過ぎだろ」とアミラさんは苦笑した。 「そんなことないですよ! だって、アミラさんは……」 「違うよ」 「え?」 「トルイタム王国一の回復魔術師って方が」 「そんなこと、わかっていますよ。けど、僕だってアミラさんと肩を並べたっていいじゃないですか」  僕が唇を尖らせると、アミラさんは僕の頭を胸に抱き寄せた。彼女の胸の柔らかい感触に触れて、思わず体が熱くなってしまった。 「あー、よし、よし。すねるな、坊や。あんたは王国一だ」 「子ども扱いしないでください!」  僕が肩を突き飛ばすと、アミラさんは「冗談だって!」と大口を開けて笑う。体の火照りが治まらない僕は、ひょっとしたらまだ子どもなのかもしれない。 「っていうか、いいんですか? 戦いの前にこんなおちゃらけた感じになって」     
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