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旅行が好きなクロウは度々何処かへと行きたがる。1人でふらりと出ていくこともあるが、小さな体なので遠くまではいけない。それに大好きなフユウやご主人様と一緒の方が旅は楽しいのだ。そんなことをクロウが考えていると、右隣にふわふわ浮いている付き人が怒ったように両腕をあげる。オオカミのような耳としっぽをつけているのでクロウからはウルフと呼ばれている。ウルフはクロウが生み出した式神のようなもので、喋りはしないが表情豊かである。
「ウルフは私の分身みたいなものでしょ?だから、数に入れないの。」
ちなみに、フユウにもウルフのような相棒がいる。真っ白な蛇で体に赤いリボンを絡めている。名前は真白という。ただ、フユウの後ろでジッとしているだけなので害はない。フユウの機嫌を損ねなければ。
「姉様ー、旅行行こーよぉ。」
フユウの手を引っ張り起こしながらクロウはねだる。
「むぅ・・・・ご主人様が行くならいいよ。でもわがままは言っちゃダメだからね?」
「わーい、姉様大好き。」
クロウはフユウを思いっきり抱き締めた。フユウは少し顔を赤らめる。彼女は他の妖精との関わりがあまり得意でない。だからこそスキンシップに慣れていないのだ。
「それじゃあ、ご主人が来るまで待ってる。」
「・・・・!お掃除終わってない!早く片付けないと・・・・!クロウも手伝って!」
「はーい。」
もうすぐお正月。3人でゆったり過ごすために、大掃除はまだまだ続く。
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