2/16
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「あぁ、此処で良いよ少し歩きたいから」 車が静かに止まった。 「じゃあ又明日な」 恵介はそう言うとドアをあけた。 千佳はジッと前を見つめて何も言わないし啓介の方も見なかった。 そんな千佳の横顔を見て色白で細面の綺麗な顔だと恵介は思った。 車の外に出ると運転席の千佳を見て 「じゃあ、ほらっ、怒るなよ、今夜の埋め合わせは又必ずするから」と言って車を離れた。 街灯の下を遠退いていく恵介をジッと見ていた千佳は何か苛(いら)ついた。 恵介と関係をもって4年になる。 2人共、最初は只の火遊びだった。酒の上の1晩限りの火遊びのつもりだった。それが2度3度と重ね4年に成っていた。 千佳自身も遊びだからと自分に言い聞かせてた。 でも、今は離れられなくなっていた。恵介を愛し始めていた。嫌、愛してた。 千佳は大きな溜め息をつくとハンドルに顔を埋めた 。 恵介は今夜も千佳の部屋に帰る筈だった。千佳もその準備はしていた。 部屋で食事をしてお風呂に入って、毎回するのは同じ事だったが、近頃千佳は恵介が会社から帰るのは千佳の部屋が当たり前だと思ってた。 それが今日は恵介が千佳の所ではなく愛理の元へ帰ると言う。 当たり前の事だが千佳の中では当たり前では無かった。 悔しかった。恵介が完全に自分の物では無いのだとヒシヒシと感じた。 最近、千佳は考えてる事が有った。迷っていた。 2へ続く?
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!