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恵介は今日の千佳は変だと思った。千佳との関係も4年かぁ。そろそろハッキリさせないと変な事に成りそうな気がした。
(どうするか)ここ何年も繰り返し考えてる問題だ。
シーンと静まり返った住宅街の街灯の下を歩きながら恵介は暗い地面を見つめ溜め息をついた。
白い門扉を色とりどりの花が飾り付けられてる家の前で立ち止まると恵介は静かに開いて中に入った。
ドアの前に立つと深呼吸を1つしてドアを開け
「ただいまぁ」
と言って後ろ手でドアを閉めた。
妻・愛理が怒った顔で歩いてきた。
「恵介さん、ひどい」
「えっ、何が」
「やっぱり忘れてる」
「んっ?今日何か有ったかな?」
靴を脱ぎながら恵介が首を捻った。
「今日の恵理花との約束よ、あれほど忘れないでってお願いしたのに」
「恵理花との約束・・・・あっ!そうだった!」
まずい、完全に忘れてた。
「恵理花は?」
「何時だと思ってるの、もう待ちくたびれて寝ちゃったわよ」
「あちゃ~怒ってたか?」
「怒って、泣き出して、諦めてたわ。パパはお仕事で忙しいからって」
リビングに入るとリビングのソファーの上で横に成ってる3才の娘・恵理花を見た。
今日は恵理花の誕生日で必ず早く帰ると娘との約束だった。
2才の誕生日も約束して急な会議が入り帰れなかった。
3才の今夜は必ず帰ると約束だったんだ。
可哀想な事をした。恵理花を見たら可愛い頬っぺたが涙で濡れていた。
(こんな事ではいけない)
思った。駄目な父親だ。ネクタイを緩めながら寝室へ向かった。
書類カバンを持って愛理が着いてきた。
「電話入れようか迷ったんだけど、恵理花とあれだけ約束したんだから今日は大丈夫かなって思ったのに~」
「すまん、急な会議が入って」
恵介は服を脱ぎながら自分の不甲斐なさを噛み締めた。女のご機嫌を取るので娘との約束を完全に忘れてしまうなんて。急な会議はホントの事だったが、会議は早く終わってた。
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