たとえ大吉が出なくても

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 俺の耳元から口を離すと、にひっと照れ笑い。  そして逃げるように沿道に戻る笑里の背中を、俺は呆然と見送っていた。  耳──と心に、くすぐったい感触が残る。  同時に俺は、彼女と手を繋いでもいい権利を得たのだと実感した。  ──いいよ、今すぐに。  君の欲しい物をあげる。  たとえ大吉が出なくても。 【end】
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