1人目

14/48
前へ
/137ページ
次へ
「うん。上手だったよ!」 悲しみさえ、表情に出さない霊子。 それは過去の絶望によって今を忘れた、一時の希望。 全てを取り戻せば、本来の霊子も絶望も戻る。 望みは死か、破壊か? 今はない、仮初めの霊子。 全てを取り戻す事を望む、瑠璃と里奈。 それは、二度と訪れない希望の消失を意味する。 それを感じ取れたのは、京子だけ。 京子は、言い知れぬ不安を覚えた。 普通なら背筋が寒い程度だが、霊子の狂気じみた物はそんなレベルではなかった。 京子は、咄嗟に霊子に怨まれない様に振る舞った。 「次…行こう!」 皆は元気に振る舞うが、京子はぎこちない。 不思議そうにする霊子。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

313人が本棚に入れています
本棚に追加