313人が本棚に入れています
本棚に追加
京子はさっきの今で、この開かずの間に興味を持った事に、悍ましさを感じてた。
どこの学校も、七不思議なら何処にでもある。
噂が1人歩きする事は、何ら珍しくはない。
大抵は他の生徒を驚かす目的で噂を流し、それが繰り返され、いつしか誰が言い出したかわからなくなり、話だけが学校を漂うのが現状だ。
しかし、この先の向こうは明らかに噂だけではなく、地獄とこの扉は繋がってても、納得してしまう程の異質な物だった。
皆が楽しむのは何処かドッキリ感覚で、本当に遺体や幽霊が出たとしたら、悲鳴をあげるか真っ先に逃げ出すだろう。
だが、霊子には全くの逆だった。
その笑みには、狂気が隠されていると思う時が京子にはあった。
友達を疑う気持ちは、あまりいいもんじゃない。
押し殺してた心が、横にいる霊子を見て再び、抑えてた疑問が蘇ったのだ。
「こ、ここは、曰く付きの部屋だから、あまり詮索しない方が良いよ!」
言葉が上手く出せない。
「そうですか。残念です。」
波は京子の様子が、いつもみたいに元気がない事に気づき、顔を覗き込んだ。
「京子?」
前方にいる里奈や瑠璃は、霊子と話していて気づかない。
「私達、ちょっとトイレに行ってくるね!」
波がさりげなく言った。
瑠璃達は、後ろを振り返りながら返事をした。
「うん、わかった。私達は此処にいるね。」
トイレに入り、尋ねた。
「どうしたの?京子、何かあった?」
背を丸くし少し怯えたのか、縮こまりながら言った。
「霊子って、何者なの?」
波には、言葉の意味がわからなかった。
「どうゆう意味?」
手が小刻みに震えていた。
「音楽室の時、何も感じなかったの?」
自分も感じていた。
言って良いのかわからなかったが、京子にだけは言う事にした。
「あの、悲しい演奏が不気味だった事?」
大きく何回も頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!