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勢い良く立ち上がり、自分に喝を入れるように語りかけた。
「よし、明日から霊子の為に頑張るかー!」
その元気な姿を見て安心し、2人は暗闇に包まれた教室で笑っていた。
それは闇に閉ざされた、微かな希望の光にも見えた。
そんな時、霊子は玄関前で学校を眺めて、今日一日を思い返し耽っていた。
意味の無い笑みが溢れる。
「学校は、私には良い所なのかな?」
独り言がこぼれた。
前の学校ではあまり良い話を聞かなかった分、今日は終始不安で仕方なかった。
でも、良くも悪くも友達ができ、記憶がない事以外、普通の生活を送れた事は何より嬉しかった。
暖かな希望で始まった1日は、地獄の門である事はまだ誰も知る由も無い。
その後どうやって家に帰ったのか、記憶がない。
ただ気がつくと、鞄を肩に掛け朝を迎え学校前に来ていた。
その事に気になってはいたが、記憶喪失とはそういうものだと認識した。
昨日と同じ様に外履を下駄箱に入れ、上履きを取り靴を履いた。
自分の教室に向かい、戸を開けて挨拶をした。
「おはようございます。」
クラスのほぼ全員が挨拶を返し、男子生徒は歓喜しまじまじと見ている。
見られている事に気づき、困り果て顔を下向きにしてしまった。
困っている霊子を助ける様に里奈と瑠璃は、2人は手招きをして呼んでいる。
皆が集まっている瑠璃の席に行こうとすると、遮る様に霊子の前に2人の男子生徒が来た。
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