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学校の外に出でて見るも、辺りは無数の木だらけ。
転校2日目の霊子は、どこにグランドがあるか分からない。
「どこに、グランドあるんですか?」
透かさず道を誘導しながら、声をあげる。
「霊子、こっち!」
里奈は前を歩き、後ろを何度も振り返りながら霊子に語りかける。
里奈が立ち止まっている場所の先には、見えない位木に囲まれている。
よく目を凝らして見ると、微かな道があった。
小さな狭い道を通ると、1本道になっていて木のトンネルのようだ。
20秒程歩くと、道を抜けグランドに着いた。
写し出された光景は、ベージュ色のグランド。
僅かな風に乗って行く様に、砂埃が舞っていた。
何より驚いたのは、辺り一帯はまるで囚人を逃がさない為に用意された、フェンスの様に周りは大量の木に囲まれた密閉空間だった。
僅かに違う景色があるのは、上空を見上げると、この悲しい世界に相応しい位、顔を出さない日輪を隠す様に浮いている薄暗い雲。
動揺を隠し切れない霊子だが、どこか喜んでいる自分がいた。
興奮と不安な気持ちで、覚束無い感じで聞いた。
「こ、これがグランドですか?」
気持ちを察し、苦笑いで霊子に顔を向けた。
「だよね。周り木以外何にも見えないもんね。」
「ここの学校が、作為的に作ったんですか?」
「私が聞いた話では、奇妙な事に学校が立ってから急にまるで、学校を逃がさない様に木が生えたらしいよ!」
衝撃な内容に頭がついていかない。
恐怖を覚えた。
その恐怖心は誘う様に、頭にピートントンピートントンと何回も欠けた記憶の中から、霊子に呼びかける。
顔色は真っ青に染まっていく。
「大丈夫?霊子顔真っ青だよ。」
里奈の声に急いで駆け寄る瑠璃達。
「何かあったの?」
「霊子が急に顔、真っ青になったから心配で」
霊子は里奈な前に手を翳し抑止する。
「大丈夫、少し目眩がしただけですから」
瑠璃は顔を覗こうとするもの、微かな横顔しか映らない。
「本当に大丈夫?保健室に連れて行こうか?」
記憶のかけらが言葉を繰り返し、聴こえて来る事を悟られたくない霊子。
「今は大丈夫です。」
「なら、具合悪くなったら言ってよ?」
「はい。ありがとうございます。」
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