だれか、かわって。

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 がちゃり。 「!?」  外から、鍵がかかる音がした。慌てて扉に駆け寄りドアノブを捻る――が、当然開くはずがない。 「ちょ、誰!?やめて、開けて!何てことするのっ!!」  扉を叩こうとして――そこでやっと、私は状況がおかしいことに気づく。  どうして、私がさっきまで持っていた鍵束がなくなっているんだろう。  どうしてこんな重い扉が閉まったのに――物音ひとつ、私は聞き取れなかったんだろう。  どうして電気がつかなくて、どうして南京錠がこのタイミングでなくなっていて、どうして――。  どんどんっ。 「!!」  扉を叩く、音がした。  私がいる倉庫の――外から。そして。 『 ア リ ガ ト ウ 』  ノイズ混じりの、ひび割れた声が――はっきりと、私の耳に。 『それ以来…出る、んだって。……自分と同じくらいの年頃の女の子が近付くとね…助けて、出してって扉を叩くらしいよ。助けて…こんな暗いところにもういたくない…お願いだから“代わって”って』 「いや…いやぁぁぁぁ!やた !いやだ!代わりたくない、代わりたくないないよぉっ!!」  山本の言葉を思い出し、私はパニックになって絶叫した。  自分と入れ違いに、一体誰がココから出ていったというのか。  誰かが代わってくれるまで、自分はずっとこのまま?  そもそも――そんな時が、本当に訪れるのか? 「いやだ…やだァァァァァァァァ!!誰かっ…誰かァァァァァァ!!!」  私の手元から――突然電源が切れてしまった携帯電話が転がり落ちた。  私の声はもう、誰にも聞こえない。  誰も私に、気付いてくれない。――いつかこうして、私も彼女のように腐っていくのだろうか。 ――そんなのいや…いや、だから…っ。  壊れかけた頭で、私は思った。――きっと彼女たちがそうしてきたように。 ――だれ か、かわっ て …。
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