花のように

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花のように

玲香(レイカ)はため息を着いた。 誰もいない公園のベンチに腰かけると同時に、涙が溢れてくる。 「お父さん......」声がかすれて、それしか言えない。 昨日、お父さんの命はもっても一週間と告げられた。 「あんなに頑張ってたのに...なんで.....」 お父さんは体が弱く、いろんな病気にかかりやすかった。そのせいで、今年はガンになった。 私は最初は手術すれば治ると思い込んでいた。でも、手術する前に、手遅れだったなんて知らなかった。 お母さんも昨日から一言もしゃべってくれない。まるで、死人のように動かなくなってしまった。 「お父さんのバカ!」私にできることはもうないんだ。何をしてもお父さんは助からないんだ。そう思うと、また涙が溢れてくる。 「なに、してるの?」突然の声に顔をあげると、小さな男の子が立ってこっちを見ていた。 誰とも話したくない私は何も答えず、男の子から目をそらした。そして、静かに立ち上がる。 一人でいられる場所に行こう。だけど、どこへ行けばいいの?家にも公園にも私の居場所はない。 「ねえ!聞いて、る?」男の子のしゃべり方は少し変わっていた。 「変なの!」男の子に向かって思わず叫んでしまった。情けない。子どもに八つ当たりするなんて。またすぐに男の子に背を向け、立ち去ろうとした。 「はなして!」突然男の子が目の前に来て、私の目を見つめはじめた。 きれいな目.....。水色のきれいな宝石みたい...。 一度引っ込んだ涙がまた溢れてきた。心に詰まっていた何かが消えていく。悩みを打ち明けたい。私は...。 「私ね、酷いんだ!お父さんなんかいなくなれ!って思っちゃったんだ。だって、お父さんがいなかったら、お母さんも私も辛い思いをしなくてよくなるもん...。でも、本当に辛いのはお父さんだって、本当は知ってたのに...。お父さんはね、どんな辛いときにも、私とお母さんの前では笑ってたんだ。どれだけ辛くても、笑って...治ったら一緒に遊園地に行こうとか、公園でバドミントンしようって言ってくれた、なのに私.....いなくなれって願っちゃった。でもそれは、いなくなってほしかったんじゃなくて、ずっと一緒にいたいって願いたかったの。今だって、お父さんのそばにいたいの。でも...怖くて。お父さんがいなくなっちゃうのが怖くて、そんな自分が嫌いで...。私逃げてきたの、現実と自分から。」一気に自分の気持ちを言った。こんなことはじめてだ。
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