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世界と言う美しいキャンパスを、描かずにはいられなかった。
そして何より、少女は絵を描く事が、大好きだった。
美しいキャンパスを、自分の絵で表現する。
それが少女の幸せだった。
恐れていた通り、いつからか絵を燃やしても、感情が戻らなくなっていた。
それでも少女は、絵を描き続けた。
最後に残った少女の感情は、やはり悲しみだった。
少女はその悲しみと言う感情を、最後のキャンパスに描いた。
描いたのは、自分の肖像画だった。
泣いている、自分の顔だった。
その絵を描き終えた途端、少女の中の全ての感情が消えた。
そして少女は、感情を持たぬ人形となった。
少女は一日中、無言で表情を変える事無く、海を見つめていた。
少女が最後に描いた、泣き顔の自分。
それは少女が、泣き顔こそ1番人間らしい表情だと思ったからだ。
嬉しい時も、悲しい時も、感動した時も、悔しい時も、どんな時でも涙は流す。
人間は色んな意味を持って、沢山涙を流すのだ。
人形になった少女には、叶わぬ夢だからこそ、泣き顔を描いた。
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