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4.それは、唐突で、心の準備もなくて
3日後、さえりさんからメールが届いた。会えなくなったのだという内容の。
僕は、さほど驚かなかった。ああ、そうなんだ、程度のショックしか感じなかった。再会することは、もうほとんど期待していない。
それに、この度の友里との経緯とあの夢によって、僕の心は、大きく過去へと引き戻されようとしていた。
ただ、今回のメールにも、あの日の会話と同じように、気になるフレーズがあった。
「妹が邪魔をしてくるの。」と書いてあった。
姉が男友達と会うことを邪魔する妹っているのだろうか? ティーンエージャーの姉妹なら、嫉妬でいざこざが起こることだってあるだろう。でも、少なくとも、見た目には、アラサーと思われる彼女に、そんな歳の離れた妹があるとは思えない。また、いたとしても、若い妹を余裕でかわすことはできるだろう。
こういう想像は、どうだろう?
一心同体のような仲の良い姉妹。何処へ行くのも、何をするのもいつも一緒。だから、姉と自分との睦まじい関係に水を差すような外部者、しかも男性となれば、警戒するだろうし、場合によっては敵視するかもしれない。
でも、僕は、まだその立場にはない。何らアクションを取っていない。ひたすら連絡を待って、いろいろ想像しているだけだ。
潔癖症の妹なら、お姉さんが男とセックスしているところを想像するだけで嫌悪感を持つのかもしれない。それは、なんとなくわかる。僕だって、妹が押し倒されて、唇を奪われ、身体を開いて、服を剥がれ、男の為すがままにされるのを想像するのは、気分の良いものではない。だから、頭は良いがひ弱そうで、激しい愛撫をするなんて想像もつかないような男を結婚相手だと連れて来た時は、胸を撫で下ろしたものだった。
で、僕は、何をまたいろいろイマジネーションを膨らませているのだろうか。
会えないので、何にも始まらない。でも、その状況に半ば満足しているような感さえある。
こうした状況は、いつまで続くのだろうか?
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