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半分以下の笑顔だとしても
本当に、綺麗である、美しい。
それ以外の表現は僕の語彙力では表すことができなかった。もっと詩的に表現できればこの感動を伝えられるかもしれないのに。
長く美しい黒髪はサラサラと風に靡き見るものを離さなくする魔力がある。
すらっとした手足、華奢でありながら美しい曲線美を持つ体、年相応の落ち着きを醸し出した上で可愛らしさも併せ持った顔。1つ1つのパーツが、というよりは完璧なバランスによって作り出されているのだろう。そうした一種の危うさも孕んでいる彼女には愛おしさはもちろん、年頃の男子はエロイズムも感じてしまうと思う。
かくいう僕も
このエロイズムに昔やられたことがある。
中学生の多感な時期、あるチャンスがあり露出の多い服を着た彼女を襲いかかろうとした。とてもじゃないが止められなかったのだ。
あの時はベッドに押し倒すところまでいって彼女が泣いていることに気がつき、理性を取り戻した僕は逃げるようにその場を去りその後デコがすり減るんじゃないかというくらいに謝罪を繰り返した。
その場では一応2人の間で和解といった形にはなったのだが、やはりどうもお互い気まずさは残り続け顔を合わせることも減っていき、会話も昔と違ってほとんどなくなっていった。
そうした心の距離に加え環境の変化による物理的な距離も相まってしまったのだろう。
それでも、その期間も僕の思いは強まる一方だった。
話したい、触れたい、抱きしめたい。欲情はとどまることを知らず、その度になんとか自分を押さえつけていた。
あの時の彼女の泣いている悲しそうな顔を思い出して。
いっそ蔑んだり怒ったりしてくれた方が楽だったかもしれない。
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