一・始まり《中島ミツハ》

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「そっか……。期末終わったばかりだし、疲れてるんじゃないかな?」 「……そうかもしれない」  確かにユウコの言う通り、つい先週、二学期末の試験を終えたばかりだったし、来年は高校最後というプレッシャーもある。  進学は考えていないけれど、その代わりにちゃんと就職ができるか、ちゃんと働けるかを考えると胃が痛む。  そういう精神的なストレスが、幻聴と夢遊病を引き起こしている可能性も否定はできないと思いたい。 「ミツハは真面目すぎる所があるから。たまにはちゃんとストレス発散しないとだよ?」  そう言われても、ストレスの発散の仕方がわからない私は困ってしまう。  趣味もないし、小さい頃から友達と遊ぶより家に籠っていたタイプだったし。  しかし微笑みながらポンッと軽くこの肩を叩くユウコに「今日も早めに寝よう」と、そう思いながら私も笑顔を返した。
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