一・始まり《中島ミツハ》

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 それから、うつらうつらしながらも五限目まで乗り切った私は、今日から部活が始まったユウコと教室で別れ一人帰路につく。  ユウコは一年生の頃からバドミントン部に入部していて、全国大会にも出場するぐらいのレベルだ。  正直、部活というものに憧れていたけれど、日頃の母の言動から私は帰宅部を選んだ。  昔、身体が弱かったということで、必要以上に過保護になってしまうのも無理はない。  しかし、母が何よりも心配しているのは、身体よりも顔だった。 「女の子が顔に怪我でもしたらどうするの?」と、体育の授業ですら心配する母に、部活に入りたいなんて言えるはずがない。  結果、帰宅部を選んだ私は毎日学校が終わると、寄り道することなく帰宅する。  心配してもらえているだけ華。と、自分自身に言い聞かせながら。  __実際、心配されなくなった時には、娘として終わりだ。
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