プロローグ

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 “__いい加減にしてくれっ! もう、関わりたくないんだ!”  今度は電話にすら出てくれないかもしれない。  男は溜め息を吐き出しながら、取り出したばかりのスマホをポケットにしまった。  無理もない。卒業してから何の音沙汰もない同級生から、突然あんな電話が掛かってきたら怒りたくもなるだろう。  “__幽霊が出た”  そんなこと、誰だって信じてはくれない。それに……。  “__早く来いよ!”  ジメリとまとわりつく恐怖。  “__もう、やめようぜ!”  後悔と同じ深く果てのない森。  男は小刻みに震え出した手を握りしめ、ギュッときつく瞼を閉じる。
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