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それから五限まで授業を終えると、今日は速やかに帰ることにした。
こういう時、担任を受け持っていない僕は気楽だと思う。気にかけるのは授業を受持つ生徒達だけでいいのだから。
それも距離だって自分の都合で調整できる。
だから山田先生は担任を持たずに、困った時にだけ生徒の相談に乗り感謝をされる、謂わば美味しいとこ取りの僕を毛嫌いしている。
「長谷川先生はもうお帰りで?」
職員室から出ようとした所に、山田先生がやって来る。
身長は僕より小さいくせに、横幅だけはでかい為、立ち止まり入り口を譲る。
「はい。担任も持たない僕が残業代を頂くわけにはいきませんから」
「長谷川先生は何を言っても爽やかだね」
「あはは。それしか取り柄がないもので。それでは失礼します」
うん。どうやらいつもの僕に戻ったようだ。
ホッとしながら、通り過ぎる生徒達に笑顔を向ける。そして学校から出た瞬間、僕は教師の仮面を外した。
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