169人が本棚に入れています
本棚に追加
「……お母さんも長谷川先生も、もうあんたのものじゃない。ざまあみろ。幽霊は無力なんだよ」
そう吐き捨てると、室内に骨の欠片を持ち込まないようにその場で靴を脱ぎ捨てた。
「……あんたは、仲間に入れてあげない」
バラバラになったみーちゃんを睨み付けると、私は家の中に戻り二階の物置きからストーブの灯油を探した。そして、二階の自室から順番に階段を降りて、調理場に洗面所と風呂場。そして、あの暗闇の部屋に廊下と玄関に灯油をぶちまけた。
書斎に戻ると、リビングで見つけたマッチに火をつける。そして、廊下の外に投げ捨てた。
ボッ。と、いう音と共に真っ赤な炎が、書斎だけを避けて廊下を走る。私は扉を閉めると、長谷川先生とお母さんの間に仰向けに横になった。
右手には長谷川先生のゴツゴツとした手。左手には母の細い手。握りしめて、天井を見つめていると胸が温かくなっていく。
最初のコメントを投稿しよう!