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「っ……!?」
また、あの声が聞こえた。
思わず息を止めて目を開くと、至近距離には見慣れた顔があった。
「……びっくりした。普通に目覚めなさいよ」
「ご、ごめんなさい……」
驚いた顔の母は、私から離れると「朝ごはん出来てるから」と、微笑みながら部屋から出ていく。
その後ろ姿を眺めながら、ズキリと痛む蟀谷を擦りながら身体を起こすと、あることに気づいた。
……あれ?
私、いつ布団に入ったのだろう。
確か昨日は学校から帰ってきて、ミルクティーを飲みながら課題を済ませて、疲れたからベッドに横になって……。それからの記憶がない。
キョロキョロと辺りを見渡すと、不思議なことがもう一つ。
制服のままだったはずが、何故かお気に入りの桃色のパジャマを着ていた。
当然、着替えた覚えも布団に入った覚えもない。
背筋に不安が走り、思わず手の平を確認する。しかし今日は、汚れ一つ不着していなかった。
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