二・接触 《中島ミツハ》

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「っ……!?」  また、あの声が聞こえた。  思わず息を止めて目を開くと、至近距離には見慣れた顔があった。 「……びっくりした。普通に目覚めなさいよ」 「ご、ごめんなさい……」  驚いた顔の母は、私から離れると「朝ごはん出来てるから」と、微笑みながら部屋から出ていく。  その後ろ姿を眺めながら、ズキリと痛む蟀谷(こめかみ)を擦りながら身体を起こすと、あることに気づいた。  ……あれ?  私、いつ布団に入ったのだろう。  確か昨日は学校から帰ってきて、ミルクティーを飲みながら課題を済ませて、疲れたからベッドに横になって……。それからの記憶がない。  キョロキョロと辺りを見渡すと、不思議なことがもう一つ。  制服のままだったはずが、何故かお気に入りの桃色のパジャマを着ていた。  当然、着替えた覚えも布団に入った覚えもない。    背筋に不安が走り、思わず手の平を確認する。しかし今日は、汚れ一つ不着していなかった。
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