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スラリとした体型に長めの黒いピーコートという出で立ちは、人波の中にいても目立っていた。
だから自然と視線が重なってしまった瞬間、しまったと心の中で呟く。
相手は昨日と同じようにハッとした顔をしていたけれど、私は咄嗟に視線を逸らすと学校の敷地内へと逃げ込んだ。
……どうせ追ってはこないだろう。
そう思い、歩みを緩めた瞬間だった。
「キミ!」
え。と、思い振り返るといつの間にかさっきよりも距離が縮まっている。
予想外の展開に一歩後ずさると、警戒していることが伝わったのか相手は人の良さそうな笑みを浮かべた。
「怪しい者じゃないんだ。僕は隣の公立高校で生物教師をしているんだよ」
……教師?
隣に男女共学の公立高校があることは知っているけれど……。
切れ長の瞳に少し太い眉。高い鼻に形の良い唇。
年齢は三十代位だろうか。清潔間のある黒髪短髪に、スラリとしたスタイルと爽やかな笑顔。
教師だなんて、さぞかし生徒からモテて大変なんだろうな…。と、相手の顔をジロジロと眺める。
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