二・接触 《中島ミツハ》

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 朝のホームルームが終わり授業が始まると、先週終えた期末試験の回答が続々と返却される。  いつも平均点以上を狙っている私は、今回も勉強の成果を出せたことにホッとしていた。 「さすがミツハ。全部、九十点代なんて凄いよね」 「ありがとう」  昼休みになると、自分のお弁当を持ってやって来たユウコが私の隣に腰掛けると、包みを広げながら唇を尖らせる。 「でも、本当に進学しないの?」 「うん。早く就職してお母さんに恩返ししたいから」 「だったら私は勉強なんかしないけどなー」 「でも良い点取るのも親孝行かなと」 「本当。ミツハは偉すぎるよ」 「そんなことはないよ」  結局は、ただ母に褒められたいだけなのだから。  私は笑って誤魔化しながら、自分のお弁当を広げる。すると大好物のミートボールに頬が緩む。勿論、母の手作りだ。
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