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「少し進路のことで話しがあるんだが」
「………わかりました」
咄嗟にお茶を飲み込み、カラカラの喉を潤す。そして、いつも通りの笑顔を貼り付けると教室から出て行く担任の後に続く。
だけど背中には冷たい汗が伝っていた。
「進路のことなんだが。本当に進学は考えていないのか?」
「……はい」
そう頷きながらも、私の心はここにあらずだった。
__一瞬、自分が誰なのかわからなくなった。
……やっぱり私はおかしい。
誰かに相談したい。でも、母にもユウコにも相談できない。
だって、きっと凄く心配をかけてしまうから。
その時、脳裏に浮かんだのは長谷川先生の顔だった。
他人だし他校の先生だし、ある意味で気を遣わなくてすむ。
そして私という人間を知らないからこそ、先入観もなく話を聞いてもらえるかもしれない。
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