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「連絡してくれたら良かったのに」
「……私にとって必要な人なら、約束しなくても会えるはずだと思ったので」
「必要?」
「私の友達曰く、人は必要な時に必要な人に出会うと言っていたので……」
「なるほど……」
不思議なことを言う子だなと思った。しかし僕の中にも何処かで似たような感覚があったから、笑うことはしなかった。
隣接した学校にいたはずの僕達は、昨日までお互いの存在を認識していなかった。
なのに、あと二週間でカズミが死んで十七回目の命日を迎えようとしている、このタイミングに出会った。
何処かで出会うべきして出会ったような、そんな不思議な感覚を持っていた……。
一定の距離を保ちながら、背後を付いてくる彼女を時折気にしながら、僕は学校から少し離れた小さな喫茶店に向かっていた。
少し路地に奥まっている場所にあるこの店は、チェーン店のカフェのようなお洒落な雰囲気は皆無だ。
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