接触 《長谷川カズト》

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「……カズミさんって、どなたですか?」  一瞬、どうしてその名前を知っているのかと思った。しかし、最初に出会った時、僕は確かにカノジョの名前を呟いたことを思い出す。 「高校時代の彼女なんだ」  小さく息を吐き出すと、僕は目の前にあるコーヒーに手を伸ばす。  考えてみたら、誰かにこうしてカズミの話をするのは初めてのことかもしれない。後ろめたさから、ずっとカズミの話は避けてきたから。 「最初に会った時、私の顔を見てカズミって言いましたよね? そんなに私と似ているんですか?」 「……そっくりだよ。声と、背格好と、性格以外は」  するとミツハは、テーブルに小さく乗り出していた身体をゆっくりと引くと、浮かしていた腰を降ろす。 「じゃあ、今度は僕が質問してもいいかな?」 「はい……」  ミツハの顔色が何処と無く悪いように見える。しかし、きっと店内の明かりが暗いせいだろうと、僕は質問を続ける。
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