接触 《長谷川カズト》

13/19
165人が本棚に入れています
本棚に追加
/327ページ
「夢遊病の件は、試しにスマホのGPS機能を使ってみるとか」 「え?」 「行動履歴が見れるアプリがあるんだ。えっと……」  僕はスマホをポケットから取り出すと、アプリを調べてミツハに見せる。  するとすぐに、ミツハはそのアプリを自分のスマホにダウンロードした。 「とりあえず、それで様子を見てから病院に行くか決めよう」 「……はい。親しい人にはなかなか相談できなかったから、本当に助かりました……」  ミツハは胸の前で手を組みながら、ホッとした顔をしている。 「全然。たいしたこともできないけれど、こんなんで良かったらいつでも相談に乗るよ」   「……ありがとうございます」  ペコリと頭を下げると、切れ長の瞳はまだ何かを訴えていて僕は思わず口を開く。 「他に、話したいことはある?」  すると、やはり何かあるのかミツハは唇を噛み締めると、視線を一度下に落としてから、ゆっくりと僕を見つめた。
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!