プロローグ

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「……ん゛んっ!?」  強烈な痛みに男の身体がエビのように反り返る。その瞬間、膝裏にギザキザとした冷たく固い感触が触れた。  __助けてくれ!  ジタバタと上半身だけを動かし抵抗を試みるも、鼻と口を塞がれ呼吸もできない。だんだんと意識が朦朧としていく。それでもギザギザとした冷たい物体がゆっくりと平行に動きだす感覚が肌に伝わる。  ビリビリと男の膝裏の皮が裂け、ギシギシと肉が裂ける。赤黒い液体がダラダラと溢れ出すと男はぐったりとしていた。  それでも、部屋にはカツンと何か固い物体にぶつかる音とギコギコと骨が切断される音が不気味な音楽のように響いた。  大人しくなった男の横に、ボトリと無造作に投げ捨てられた物体。ゴロンと転がった細長い肉の塊は……。  __男の足だった。  そしてまた、すぐにもう一本の足が切断され乱暴にもぎ取られる。
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