接触 《長谷川カズト》

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「カズミが生き物が好きで、よくあれ何これ何って調べさせられててそれで興味を持ったんだ。あとは、カズミみたいに人知れず悩みを抱えている生徒を一人でも救いたいと思ってね。罪滅ぼしにならない罪滅ぼしだよ」 「そんなことないと思います。私は救われました」  真っ直ぐに見つめてくれる瞳に、僕は救われる。 「……ありがとう」  ミツハに心からお礼を言い、コーヒーカップに手を伸ばそうとした瞬間、ポケットの中のスマホが震えた。 「ちょっと、ごめんね」  許可を取りスマホを取り出すと、ディスプレイにはこの辺りの市外局番から始まる番号が表示されていた。  電話張に登録していない番号からの電話に、間違い電話だと思いながらも僕は喫茶店の外に出ると、通話ボタンを押した。
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