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高校は家から一時間程、電車に乗った所にある私立高校に通っている。
幼い頃から身体が弱く、小学校・中学校と休みがちだった私は、高校も不安だったけれど今は何とかやっている。
友達も人並みにいるし、勉強も運動も人並みにできる。
ここまで普通に生活が出来るようになったのは、母が私の身体を考えて毎日手料理を作ってくれているお陰だと思う。だから母にはとても感謝している。
「おはよ!」
閑静な街の外れに建つ、大きな校門を通り抜けると後ろから肩を叩かれる。振り返ると友達のユウコが笑窪をつくって得意気に笑っていた。
しかしその姿は、どこか昨日までとは異なる。
「……あ! 髪切ったの!?」
答えを見つけた私に、ユウコは髪を手の甲で滑らせる。
「そう。女優風ボブカット」
肩まであった黒髪は顎のラインで前下がりに切り揃えられている。
確かに最近よくテレビに出る女優さんがやっている髪型だ。
しかし小柄で清楚なイメージのユウコには、お世辞抜きで似合っている。
「とっても可愛い!」
「ありがとうっ」
素直な感想を述べると、ユウコは真ん前な瞳をふにゃりと細めながら首を傾げる。
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