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彼「大丈夫?ビックリしたよね?ごめんね。」
彼が私を落ち着かせるように背中を撫でながら言う。
彼「温かいスープを出してあげたいけど、まずここから出るよ!」
彼は手首、足首に鎖がついたままの私を姫抱きにして部屋の外の長い廊下を走り始めた。
たたたたた
と彼の足音が絨毯に染み込まれていく。
そのまま屋敷を飛び出し、彼の車に放り込まれ家に帰った。
あの無機質な家へと。
私を姫抱きにし彼は家…
私が初めて見た家は家とは言えない物だった。
『廃墟』
この言葉がピッタリだった。
だが中は外の見た目より綺麗で一言で表すと、コンクリートだらけの冷たい場所だった。
私がいつも生活している部屋は、廊下をずっと行って一回右に曲がった所にあった。
彼は私をいつもの場所に設定すると、待っててねと言って部屋から出ていった。
しばらくするとギィとお決まりの音を立てて彼が来る。
彼「ほら温かいココアだ。ゆっくり飲んで。」
彼からココアという最近のお気に入りの飲み物を受け取り口をつける。
彼「本当はスープを出してあげたかったんだけど、時間がかかるからココアにしたんだ。って血!血が出てるよ!」
白いマグカップに赤い血が伝っていた。
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