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今日も自然と目が覚める。
誰に起こされるでもなく、勝手に体が目覚めるのだ。
ギィ
彼「やあ。おはよう」
私は彼のように喋ることができない。
声が出ないのだ。
頑張って喋ろうとしてもあうあうとだけしか言えない。
でも私は良かった。
声がでなくても私は今の生活に十分満足していた。
確かに足は椅子に縛られていて動かないし、手も手首を後ろで縛られていて動かせない。
おまけに笑うことは許されない。
…もう笑い方も分からない。
でも、それでも私は何とも思わなかった。
これが普通だと思っていた。
いやこの部屋の外に私のような人がいるのかも私は知らなかった。
彼が色々話してくれるからこの部屋の外には沢山の人がいて賑やかだということは分かった。
同時に彼は外の世界がどれだけ危険かをうんざりするほど語ってくれた。
私が外について知っているのは
・人がいる。
・怖いところ。
この二つ。
私に色々な事を教えてくれる彼が目の前にいる。
いったい今日はどんな面白い話をしてくれるのだろうか?
ワクワクしながら待ってると彼はよしよしと頭を撫でてもう一つの椅子を持ってきた。
私の後ろに座り“くし”という髪をすく物を私の髪に滑らせながらゆっくりと口を開いた。
彼「今日はね……君に似合うかなと思って買ってきたものがあるんだ。ちょっと見てくれるかな?」
彼が持ってきたのは白色の紙袋。
何が入っているのだろうか?
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