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中身は白色を基調とした可愛らしい靴だった。
彼は最近私に外の事を少しずつ教えてくれるようになった。
理由は分からないが教えてくれるのなら何でも良かった。
どの話も面白いものばっかりで“外は怖い”は嘘なんじゃないのか?と思うことも増えた。
お、いいネ、いいネ
!?
そんな警戒しないでヨ~
貴方は前の…
そうダヨ~前にも一回話したことがあったね。ケタケタケタ。
その笑い方!間違いない。貴方ね。
だからそうダヨって言ってるじゃん。
で、今日は一体何の用なの?
特にナイよ~
はぁ!?
おっと。怒らないで怒らないデ。君が成長したから来たんだヨ。
成長?
ウン。成長。
何が成長したの?
ン-。それハ言えないかな~。
何で?
ナンデモ。
…
ちょっと怒んないで!
…
自分で気づくまではボクから言えないんだ。
そう。なら自分で気づいて見せる。
自分で気づいたらまた来るネ~。
もう来なくていいよ。
エ!?ひどいねキミ。でも来るからいいけどネ。
彼「…ねえ聞いてる?」
私ははっと顔を上げた。
彼は心配したように私の顔を覗き込んでいた。
彼「これ気に入らなかった?」
私は首を横に振った。
彼「良かった。じゃあこれも見てくれる?」
そう言って彼が次に取り出したのは真っ白なワンピースだった。
彼「これにね、このコサージュっていうのを着けるとより華やかになるんだ。このコサージュの花はね…」
“ブラックバカラ”
聞いたことのない名前の花だった。
もしかしたら私が知らないだけで有名な花かも知れないけれど。
彼「これ着てみよっか」
そう言って彼は私の服に手をかけた。
――――――――
不思議とそのワンピースと靴は私にぴったりだった。
彼「似合ってるよ。じゃあ今日はそれを着て少し外に出てみよっか」
私が首を傾げると
彼「君を見たいっていう人がいるんだ。大丈夫。僕がついてるからね」
こうして私は始めて外に出ることになったのだ。
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