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C県I市にあるS公園には、夜泣き石の伝説がある。
夜泣き石伝説。S公園は戦国時代の城跡に作られた公園で、夜泣き石もその頃に由来するものだ。戦死した武将の娘が、父を弔うために戦場まで出向き、その凄惨さに打ちひしがれる。娘はその場で泣き崩れ、近くの石に縋りついたまま、ついには息絶えてしまう。それから毎晩、その石の側を通り過ぎる度に女のすすり泣き声が聞こえるように……まぁ、何ともありがちな話だ。
話自体はありがちなんだが、このS公園自体は心霊スポットとしてもそれなりに有名だった。夜泣き石を中心に、やれトイレの個室から包丁を研ぐ音が聞こえるだの、公園内の墓地を写真に撮ると幽霊が写るだの……挙げれば枚挙にいとまがない。
実際、心霊スポットとしてだけではなく、S公園では不可解な自殺事件も過去に発生している。半年ほど前、仕事帰りの女性が、S公園の展望台から隣を流れるE川に身を投げ自殺した。
報道発表では自殺ということだったが、職場や近隣住民では殺人事件ではないかという噂が実しやかに流れていた。女性は仕事も順調、プライベートでも3年付き合った彼氏ともう結婚目前まで来ていたそうで、自殺する理由もない。
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