本当の怪異

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 S公園の最寄りのK駅は、職場と自宅のちょうど間にある駅だった。  駅の側にはコンビニがぽつんと一軒あるのみで、人もまばらだった。駅を出てすぐのところに階段があり、その先にはS公園に向かう土手がE川沿いにずっと続いている。  職場と東京にある自宅を行き来するばかりで、間の駅で降りたことはあまりなかった。新宿や渋谷とまではいかずとも、それぞれ駅ビルや居酒屋が駅前にひしめき合い、降りた瞬間喧騒に包まれる街だった。 だからこそ、その間にあるこの駅の静けさと暗さは、降りた瞬間から少し不気味に思えたものだ。  スマホのライトを頼りに階段を上り、土手沿いの道に上がる。川と草の匂いが鼻腔を刺激し、同時に風を受けて草むらの立てるざわざわとした音が耳に響く。  普段あんなに眩しく感じるフラッシュのライトがこんなに頼りないものとは思わなかった。照らせるのは精々、1メートル先の地面だけ。 「真っ暗だ、いきなりヤバい感じ」  男は写真を撮り、またも彼女にメッセージを送った。相変わらず既読はつかない。     
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