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「お前誰だよ」
腕を組んで男を睨みつける
俺の視線に気づいたのか、振り返ると体の向きを変えた
そっちこそ誰だよ、と聞きたい所だろうがそいつは違った
臆びれる事なく冷静に一歩俺の前に近づいた
「彼氏さんですか?」
男の冷静な態度に苛立ちボルテージが上がって行く
「だったら何だって言うんだよ!!」
体を起こすと俺も男に近づいた
手がわなわなと震え今にも拳を握りそうだ
が…男は態度を変えず、冷静なまま唇を結んだ
まるで静かな闘志を燃やす様に
俺は威嚇する様に一歩前に出たが、男は
「俺、引きませんから」
と、俺から目を離す事なく静かな火の粉を飛ばした
何か言い返せればいいのだろうが、言葉が見つからず、気がつくと俺は拳を握っていた
『チーン…』
エレベーターの音が響く
「失礼します」
男は一礼すると俺に背を向けてエレベーターに乗った
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