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いよいよパニックを起こし、扉に何度も肩を押し当ててどうにか開けようとする。
ドン、ドン!
「おばあちゃん!!おばあちゃん!!」
このまま閉じ込められてしまう、おばあちゃんは何処に行ってしまったの、開けて、開けて、おばあちゃん!
オレンジ色の裸電球がチカチカと点滅する。
母は震える手で扉を叩き続けた。
「なっちゃん、どした!」
聞き慣れた曾祖母の声が聞こえて、母は手を止めた。
「おばあちゃん、ドア開かない!!助けて!!」
母はそのまま声を上げ泣いた。
恐怖と安堵、そして曾祖母が今の今まで気付かなかったことに怒りを覚えて泣きわめいた。
すぐに目の前の扉がギィギィと軋みながら開いた。
「あいやぁ、なっちゃん、おっかなかったなぁ」
曾祖母はすぐにそう言って母を抱き締めた。
よほど急いでやって来たのか、曾祖母はゼェゼェと大きく呼吸していた。
泣きじゃくる母を抱え、曾祖母は祖父母の寝ている客間に連れて行った。
母は布団に入り、両親にしがみついているうちにいつの間にか泣き疲れて眠ってしまったらしい。
翌日、両親である祖父母に昨晩の出来事を話すと「ここも大分古いからなぁ、建付けが悪くなって来てるんだろう」と祖父が言った。
幼心にも腑に落ちない部分があったが、いつまでも考えていれば益々怖くなってくる。
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