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~序章~
地面が冷たい。周りを見ると壁に落書きがされていて、壁の端にはゴミが散乱していた。
そして私は、逃げることに必死で足に疲労が溜り、痛みもあって全く動かせず冬の季節のせいで、身体中冷たかった。
しかも大粒の雪が漆黒の雲から降ってきたのでさらに私の身体を冷たくさせた。
頭も痛くて意識もなくなりかけそうだった。瞼は半分までしか開けれず薄れていく意識の中、今までの暖かい記憶を蘇らせた。
家に帰ると両親が笑顔で「お帰り」と言ってくれる暖かい家庭だった。
お父さんが頭を撫でてくれるのが好きだった。お母さんの料理を食べるのが好きだった。テーブルを囲って両親の笑顔を見るのが大好きだった。
しかしその時間は突然終わりを迎えた。
私がいつものように学校から帰ると家の中は暗く物音すら聞こえなかった。
私は玄関に立ちつくし「お母さん、お父さん」と呼んだ。しかし何も返答がなかった。用事があるなら学校に行く前に私に言ってるはず、なのになぜ返答がないの。
足が震えていてこの暗闇に恐怖を覚えた。逃げたかった。だけど玄関の靴を見る限り両親は、家にいるはずだから退くわけにはいかなかった。
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