金髪と温泉

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「わーっ、超豪華!!」 連休も終わり、普通の平日。 休日連勤の代わりに遅れて取った休みを利用して、サラリーマンである深山 孝治(みやま こうじ)は大学生の恋人、悠介と温泉に来た。 痛んだ金髪に似合う少ない語彙で感動を伝えてくる目の前の青年に、愛しさが止まらない。 「え、やばくね?ベランダに露天風呂あんだけど!」 カードキーで部屋を開け、荷物を置く自分の横を走っていった姿はまるで犬。心なしか尻尾が見えた気もする。窓から露天風呂を覗く尻からエロい雰囲気…にはなりそうもない。少し笑みをこぼして、興奮冷めやらぬ相手に声をかけた。 「悠介、外にご飯食べに行こうか?」 「えっ、行くー!」 いつの間に、こんなことになったのだろう。 「こーじ、さぁん…」 布団に押し倒された孝治の上にのしかかる重みと、とろりと甘い声音。そしてほのかな、酒の香り。成人したばかりの悠介が、ワインを飲んだことがないというから、少しいいのをボトルで頼んで。 「おい悠介、お前何してッ…んむ、」 押しのけて起き上がろうとすると、肩を押され濃厚になった酒の香りが口に直接流し込まれた。息が熱い。 「こーじさん、おれ、こーじさんがすきぃ」 絶えず舌を絡めるキスをしながら、悠介が浴衣越しに腰を擦り付けてくる。快感を追う腰の動きは否応なしに硬くなったペニスの存在感を伝え、孝治だって無反応ではいられない。 「ん、ッぉい、悠介、腰やめろ…っ」 「やらぁ、!!…っふぁん、こーじさんも、勃ってるじゃん…」 細い指先で触れられると、薄い布一枚は頼りない。 案の定、意志に反して起き上がったペニスが存在を主張しだした。 「ゆ、すけ…ん、っ?」 指先が浴衣を裂くように動いてペニスが空気に触れた。手で扱かれるのだと思い布団に頭を預けたまま快感に備えていると、不意に視界の下で金髪の頭が動いた。 まさかと視線を下ろした。悠介の色素の薄い瞳と見つめ合う。ぺろりと唇から出た舌が艶やかに動いて、天井に突き出た震えるペニスに恐る恐る触れる。 「…~っ!?」 口でなんて、頼んでもしてくれたことはなかったのに。 拙い舌技が、わざとかと思うほどに敏感な部分を避けていく。腰が勝手に揺れ、舌先に誘導してしまいそうになってしまう度に持ち堪える。これが焦らしだとしたらとんでもないテクニシャンだな、と思ったが、舐めている最中に何度もえづいている姿に愛おしさが溢れた。
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