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ニュービー

　ターミナルは昼夜問わず人でごった返している。人が惑星間を移動する理由は様々だ。バウンティハンターなら賞金首を捕まえに行くためだろうし、出稼ぎ労働者なら実家で何かが起きたからだろう。
　多くの星で採択されている条約では、移動の自由が認められている。だから不当に旅客を拘束することはできない。
　そして僕は税関職員として入国してきた旅客を公共の福祉を免罪符に拘束できる。嗜好性薬物や銃器など禁制品の流入・拡散を防ぐ為だ。特にこの星は長距離航路のハブになっているから、税関取締りの役目は大きい。
　僕はこの仕事が好きだ。押収しても押収しても税関で止められるのは表面的な部分でしかないけれど、一つでも減らせたなら意味があると思うからだ。
　だけど今日は気分が重かった。別の宙域の税関から人員交換で職員が派遣されるからだ。それだけなら構わないが、僕が補佐役に選ばれてしまった。
　相手も僕と同じくらい経験を積んでいるらしいが、それだとむしろ互いにやりにくいだろう。最終的な判断は僕が下すが、基本的に来訪者の判断を尊重することになっている。